ダークサイドスキル
グロービスの講師もされている、木村尚敬さんが書かれている本です。
某戦略コンサルティング会社出身者の本と違い、文体に著者の謙虚さが出ている箇所が所々にあり、好感が持てました。
タイトルにある「ダークサイド」というワードからはスターウォーズのダークサイドが連想され、何か悪いテクニックを使うのかと思ってしまいますが、決してそういうことが書いているわけではありません。
ミドルクラスのビジネスマンに必要なスキルについて体系的に書かれています。
戦略論やマーケティング論等、経営の技術に関してスキルアップする方法は世の中にたくさんあります。ただ、これらだけでは十分でなく、それらを活用するための隠れたスキルが必要ということが書かれています。この点はほとんどのビジネスマンが同意するところでしょう。それらの隠れたスキルを「ダークサイドスキル」と呼んでいると考えても良いでしょう。
この本ではダークサイドスキルを以下の7つに分類しています。
その1: 思うように上司を操れ
その2: KYな奴を優先しろ
その3: 「使える奴」をてなずけろ
その4: 堂々と嫌われろ
その5: 煩悩に溺れず、欲に溺れろ
その6: 踏み絵から逃げるな
その7: 部下に使われて、使いこなせ
また、ダークサイド・スキルを磨くポイントとして
その1: いつでも戦える態勢を整える
その2: 人を操る3つの力
その3: ブレないリーダーになるために
と、合計10個の視点を与えてくれています。ポイントの中で書かれていること自体は他でも見聞きしたことがある内容が含まれておりますし、細かい点については異論があるところもあるかもしれませんが、この本の貴重なところはそれらを著者なりの考えて体系化しているところだと思います。
この本で書かれている内容は社内の出世競争で勝ち残るというレベルの話ではなく、成し遂げたい成果があり、その成果を実現するためにどう人を巻き込むか、同時にどうすれば自分がゆでガエル現象に陥らないように自己コントロールできるかについてです。
私自身、このようなダークサイドスキルは必要だとは思っていたものの、ここまで体系だって考えたことはありませんでした。もしも若い時にこの本に出合っていたら、大きな組織でもやっていけたかなぁ~と思わせる本です。(独立したことを後悔しているわけではないですが!)
まずは、この本で書かれているスキルを実践していくことでダークサイドスキルを使いこなす技術を高めることが大事かと思いますが、最終的にはそれぞれのビジネスマンが自分の立場、自分の業界の特徴等を加味したうえで、オリジナルのダークサイド・スキルを作っていくことが必要なのではないかと考えます。
組織の大小にかかわらず、人と関わる仕事をしている人には必須の内容が書かれていると思います。一読をお勧めします。
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