やってのける - 意志力を使わずに自分を動かす


 

 

目標達成について科学的根拠に基づき述べられている本です。

「思えば叶う」といった非科学的なモチベーション論に嫌気がさしている人には納得を得られる箇所が多くあります。

目標達成できるかどうかは生まれつきの資質のみでは証明できず、目標達成の能力は筋肉と同じように鍛えれば誰でも高められると主張しています。

 

目標設定の方法については、具体的に、かつハードルはやや高めが良い(他の書籍でも同様の主張をする本は多い)。また、状況によって「何故やるのか」(目的)と「何をやるのか」(具体的手法)のどちらに着目するのが良いかが解説されていて参考になります。

また、モチベーションのタイプを「証明型」と「習得型」に分類しており、それぞれに良い点が示されていますが、本書では習得型を勧めています。起業家には証明型の人が割合として少ないですが、確かに習得型の起業家の方が長期間にわたり会社を成長させられる人が多いように思います。証明型の人は会社の成長よりも自らが注目されるほうに労力が行っている傾向があるようにも思われます。

また、「獲得型」と「防御型」という別の分類もされています。経営者や起業家は「獲得型」タイプの方が多いと思います。しかしながら、会社を長く存続させるためには不要なリスクを避けることも必要で、その意味では「防御型」の考えも経営者としては必要でしょう。

意志力は筋肉のように鍛えることはできると主張されていますが、一方で意志力にエネルギーを使わせない工夫についても言及されており、「もし~であれば、~する」というパターンの条件型計画の考え方を紹介しています。この考え方は経営者に限らずどのビジネスマンでも参考になります。

楽観主義は場合によっては効果的であるが、非現実的な楽観主義は必要以上に努力を妨げ、失敗確率を上げるという主張にはとても納得感があります。

 

本書を読んだからといってすべてを「やってのける」といことはないですが(その意味ではタイトルの翻訳がやや過大?)、何かをやってのけたいという希望があるビジネスマンにとってはとても参考になる箇所が多い書籍です。興味がある方はご一読をお勧めします。


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