物価上昇には高付加価値商品で対抗!


投資をして高付加価値商品を生み出そう

国際的に見ても日本の物価は非常に安いので、多少の値上げはむしろ良いことなのではという考えも十分にあり得ると思いますが、私が感じている価格上昇ペースは政府が出している統計をはるかに上回るペースで、日常生活に影響が出るレベルまで来ているなと思ってしまいます。

(多くの人が忘れていると思いますが、菅政権で携帯電話の価格を下げていなかったらもっと苦しかったかも)

コンサルティングの現場でも私のクライアント各社に影響が出はじめています。

急激な円安による原材料価格の高騰や物流費の上昇によって仕入値が上昇しており、企業経営に大きく影響を与えていいます。この結果、ただでさえ高くない収益率をかなり圧迫させることになっています。特に変動費が高い業種においてはかなり収益性を圧迫させることになり、早急な対策が求められます。

そんな中、日経新聞を読んでいると、くら寿司の以下の記事がありました。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF063SX0W2A700C2000000/

くら寿司は単純に値上げを実施するのではなく(つまり価格に転嫁するのではなく)、220円の高価格帯商品の割合を増やすことで客単価を上げてこの原材料高騰を乗り切るという内容です。

私は単純に110円の皿を120円とか130円にするという手もありなのではないかな

と思いましたが、くら寿司はそのやり方をとらずに高付加価値路線を進めるということなんですね。

個人的には一皿120円とか130円でも十分に安いと思うので値上げを考えても良いと思うのですが、安易といえば安易なやり方かもしれません。

このやり方を取らないくら寿司は「偉い!」と言って良いのかもしれません。

私は、このくら寿司のやり方は多くの中小企業が参考にすべき事例ではないかと考えます。

中小企業の場合、取引先との力関係があり、値上げが一般化してきているこのご時世であっても値上げを了承してもらうことは簡単なことではありません。

仮に値上げを了承してもらったとしても、希望通りの金額を認めてもらえることは珍しく、希望金額の半額程度になるケースが多いように思います。

仕入値はどうしても上がってしまうので販売価格を値上げできなければ当然ながら収益性は悪化します。

この課題を乗り越えるためには、リストラ等のコスト削減しかないと多くの中小企業経営者が考えると思います。

しかし、本当にそのやり方で持続的に成長できる経営が実現するでしょうか?

私はそれはかなり難しいと考えています。もちろん無駄な経費を使っているのであればそれはすぐに止める必要がありますが、そうでいなら、コストカットのみで切り抜けようとするのは、必要な経費まで切り詰めることに繋がりやすく、結果として経営をどんどんジリ貧にさせていくだけです。

では、どうすれば良いのでしょうか。

それは、

「この時期だからこそ、高付加価値額で売れる商品を考えよう」

ということです。

先に述べたように、既存製品をそのまま値上げしたいと取引先と交渉しても必ずしもうまく行くとは限りません。

この交渉は粘り強く続けながらも、新商品を開発する、または既存商品について別のサービスを付加したり、納期を早めたりする等の施策で今まで以上の質を出す工夫が必要です。

「そんなことができるんならやっている」との声が聞こえてきそうです。

もちろんこれらを実践することは簡単ではありません。

しかし、この物価上昇は短期で終わるということは考えにくく、しばらく続くと考えたほうが合理的です。

この物価高が早く終わることを期待して何も対策しない企業と、物価上昇はしばらく続くと仮定して、その対策を考える企業ではどちらのほうが持続的成長を実現できるでしょうか。

私は明らかに後者の企業だと考えます。皆さんはどう思われますか?もしも私と同じように後者の企業が持続的に成長するとお考えになるなら、簡単ではないかもしれませんが、今日からでも何か対策を考えてみてはいかがでしょうか?

対策を実施しても、すぐに効果が出ないかもしれません(企業経営においてすぐに結果が出ることはほとんどないと言っても良いと思います)。しかし、それをやらないと今と違う現状はやってこないと言えるでしょう。リスクを取って適切な投資を実施し、その投資により新製品や新サービスの開発、品質アップや納期短縮等が実現できないか考えてみましょう。

これが実現できれば価格交渉の場でも根拠を持って交渉することが可能になります。

それにより高付加価値商品の販売が実現したなら、今の収益性を損なうことなく、自社を一段高いステージに上げることができるでしょう。

コスト削減のみではマイナスのスパイラルに入っていってしまいます。いつ終わるかわからない物価上昇の波が止まることを待つよりも、自ら行動して一段高いレベルの経営を目指す方が結果として経営の安定度は高まります。

この物価上昇局面をプラスに捉えて、自社を強化するためにはどこにどの程度投資するべきなんだろうかということを是非検討いただきたいと思います。

これを繰り返し行っていくことが自社が着実に持続的成長になるための進むべきルートになります。是非このルートを進んでいただきたいと思います。

※どんな場面でも適切な投資余力を持つことは経営において非常に重要です。資金繰りが回れば良いというレベルではなく、適切な投資ができる水準のCashを維持し続けられる財務管理が企業の成長には重要です。

さて、くら寿司は220円商品の割合を増やしていきたいということですが、実際にその通りになるかどうかは結果を待たなければなりません。

競合の回転寿司店が虚偽広告で騒がれていましたが、くら寿司のこの戦略が機能して競合を凌駕する実績が出たら良いなと思います。結果に注目したいと思います。

応援の意味も込めて、一度くら寿司行ってみようかなー

と梅田エストのスターバックスでコーヒーを飲みながら考えています


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