組織戦略にもマーケティング的視点を!


企業経営において組織力・人材力が重要だということは言うまでもありません。

一方で、多くの経営者が、経営において重要であるということは理解しているが、

自社の組織力強化をどう進めていくべきか悩んでいるというのも事実です。

このテーマについて日経ビジネスで参考になる記事があったのでシェアいたします。

https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00030/052000373/?fbclid=IwAR3pq8rs6T9umOFzDakc9cwKnZYoyEK6s2F3mqqMv7Ceok6zrPqb1u4CyUo

この記事を読んでいると日本の将来に不安を感じることばかりでだんだん暗い気持ち

になってしまいますが、記事の内容自体は納得感の高いものだと感じました。

この記事の中で

「大手企業の若手社員が大量に辞職してベンチャーに行く」

という内容があります。

その理由は、大手企業とベンチャーの30代の平均給与が逆転する可能性が高いからとのこと。

この点に関しては、

・高い給与を出せるのは一部の大型資金調達に成功したベンチャーのみで、ほとんどのベンチャーは大手企業を上回る給与を出せないのではないか?

・仮に高い給与を出せるとしても、給与だけが転職するかどうかを決める要素ではないのではないか?

という疑問は確かにあります。

ただし、この記事の中に書かれている

「人材を引き留めておけるような魅力のある経営をしなければ負ける」

という点は全く同感で、いかに良い人材を獲得し、長く働いてもらうかは規模の大小にかかわらず、今後の企業成長に大きく影響します。

ベンチャーでも中小企業でも採用や社員の定着に苦労している企業はたくさんありますが、この苦労を解決する一つの重要なキーは、組織戦略においてマーケティング的視点を入れることだと考えます。

採用や定着に悩みを抱える多くの企業は、自社に必要なスキルや経験を持つ人材を定義して、それに合致する人材の相場観を調べ、求人を出すという昔ながらの求人活動を今でも行っています。

企業側の視点に立てば自社に足りない人材をマーケットから調達するという当たり前の活動で、仕事がない時代にはこのやり方でも十分に機能しました。

しかし、この採用の仕方は完全に企業側都合の採用で、今の時代にはなかなか合わない手法です。

相手主導ではなく、自社主導での採用活動で

「プロダクトアウト的アプローチ」

と呼べるかもしれません。

求職者、また今いる社員目線で考えると、

「この会社で働くことが、自分にとってどのようなメリットがあるのか」

ということに答えてくれる企業でなければ職場として選びづらい時代になっていると考えます。

求職者、また社員にとってのメリットとは、人によって様々な考えがありますが、

例えば

・給与等の処遇が良い

・理念・ビジョンに共感できる

・事業内容が面白い、将来性を感じられる

・自分が成長できそうな環境がある

・良い仲間・コミュニティ、人間関係が構築・維持できる

・働く環境が良い、働き方に柔軟性がある

等です。

これら全てを満たすことは難しいかもしれませんが、処遇を含め、どのようなメリットを求職者や

今の社員に提供できるのかを考えてみましょう。

これは

「マーケットイン的アプローチ」

と言えます。

企業側からすると一社員の採用に過ぎないかもしれませんが、社員側からすると自分の人生や日々の生活にかかわる重要な意思決定となります。

まずは、自社がどのようなマインド、スキル、経験を持っている社員を求めているのかを

明確にし(ターゲットの明確化)、それに該当する求職者や社員が何を求めているのか

を出来るだけ理解しましょう。

(当然のことながら、いくら人が欲しいと言ってもターゲット外の人を採用してはいけません)

その上で、自社が社員の豊かなビジネスライフ、キャリア形成をどのようにサポートしていけるのか考えてみましょう。

企業の競争力は突き詰めれば組織・人材に帰着します。

紹介した記事にある通り、コロナ後に大転職時代が来るとすると(個人的には来た方が良いと思っていますが)

求職者から選ばれるかどうか、今の社員が残って働いてくれるかどうかは企業にとって相当に重要度が高い論点となります。

採用や社員の定着に悩んでおられる企業の経営者さんは、

「当社で社員が働くメリットは何なのだろうか」

「当社は社員にどういう価値を提供しているのだろうか」

「当社は将来、どのような組織を作ることを目指すのだろうか」

という視点で、採用活動や組織戦略を考え、新たな方針を作ってみてはいかがでしょうか。

この努力はかなり高い確率で自社の組織力強化につながるので、やってみる価値は十分にあると考えます。


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