第25回 社員教育の効果を上げるには 社員教育の効果を上げるには
コンサルティングの現場にいると、「社員教育の成果が出ないんです。どうしたら若手が育つでしょうか?」といった相談を受けることが時々あります。
恐らく質問の趣旨としては
・当社の若手に合う研修プログラムを提案してほしい
・他社でうまく行った教育制度があれば教えてほしい
・良い研修会社があったら紹介してほしい
といったことではないかと思います。
「若手が育たないのは制度や研修内容に問題があるのではないか」という前提で質問されているのだと思いますが、多くの場合、問題の本質は教育制度や研修内容ではありません。
社員教育においてその内容が重要なのは言うまでもないですが、その前段階として必要な点は、受講する社員の方々が
「その教育を受けることが自分の仕事上での成果やキャリアアップに有効だ」
と思うことです。
つまり、教育を受けることが自分のメリットにつながると理解させることです。
会社側がいくら良い教育制度を作って社員に提供しても、社員側の受講するマインドが整っていなければ教育効果はほぼ期待できないと言って良いでしょう。
私は時々企業の研修講師をすることがありますが、中には
「会社が言うから仕方なく座っている」
という態度で受講される方もおられます。
こういう方は研修を受講しても、大きな効果を得られることはほぼありません。
(講師としては何とかこういうタイプの方にもやる気になってもらうように努力しますが)
教育の内容を考える前に、
「なぜ教育が必要なのか。自分にどんなメリットがあるのか」
を社員に理解させる工夫をしましょう。
では、どうすれば教育の必要性を社員に理解させることができるのでしょうか?
上司が部下に対して「教育は大事なんだ!しっかり受けてこい!」とか、「一定の成績を取らないと評価に影響するぞ!」とハッパをかけるような行為は無駄ではないかもしれませんが、このような外発的な取り組みは本質的な解決にはつながりません。
社員自らが「教育を受けることがメリットになる」と内発的に思ってもらうにはどうするか。
私の今までの経験上、効果を発揮しやすい策が一つあります。
それは、
「上司自らが学ぶ姿勢を社員に見せる」
ということです。
これは社外の研修に上司が行くということではなく、例えば日常業務の中で必要な書籍を読んでその内容を部下に解説するとか、セミナーで学んだ内容について社内で共有するといったことで十分です。
上司が積極的に自分の能力アップに取り組んでいる姿を見ると、部下としてもそれを見習おうと思います。「上司でも日々努力しているのに、自分が努力しないわけにはいかない」とか「上司のような成果を上げるためには、しっかり学ばないといけない」ということを言葉ではなく態度や取組姿勢で伝えることです。
上司はほとんど学ぶ姿勢を見せないのに、部下にだけ「教育受けて来いよ!」と言われても部下の立ち場からすると「まず自分がやればいいのに!」と思っても不思議ではないです。
逆に、学びを怠らず成果を出している上司から「こういう教育を受けたら勉強になるよ」とアドバイスを受けたら、その言葉には強い説得力があり、部下も「学んでみたい」という気持ちに自然となります。
上司が日々自己研鑽し、それを成果につなげている姿を見ると自然と社員にも学ぶ姿勢が出てきます。
私の今までの経験上、若手が育たないと言っている会社では部長クラスや役員クラスが学びを怠っているケースがほとんどです。
もしも、社員教育に悩んでいるなら、まずは上層部から日々学び、社内全体に学ぶ姿勢を作ることからスタートしたほうが遠回りに見えるかもしれませんが、結果として近道になります。
学ぶ姿勢さえできれば、教育制度やプログラムはいくらでも良いものがあります。まずは上層部が学ぶ姿勢を作ってみてはいかがでしょうか?
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