第24回 「変わるリスク」か「変わらないリスク」か 「変わるリスク」か「変わらないリスク」か
先日、私が講師をさせてもらった中小企業経営者向けセミナーの参加者の方が休憩時間に相談に来られ、
「今の業態では苦しいので、新しい〇〇というビジネスを始めようかなと思ってます。〇〇は今はやっているようなのですが、、、。」
とお話してくれました。
その話を聞いていた別の経営者の方が
「中小企業で業態を変えるというのはリスク高いでしょ。なんとか粘って食らいついていくしかないですよね~」
と仰いました。
このやり取りについて、私は非常に示唆に富んでいるなと思いました。
・苦しいからという理由で、新しいビジネスに入るべきか?
・新しいビジネスに入るとして、流行っているという理由で良いのか?
・中小企業にとって業態を変えることはリスクが高いことなのか?
少なくとも上記の3つの論点は出てきそうです。
今回のコラムでは、3つ目の論点について考えます(1点目と2点目についても近日中に考えたいと思います)。
「この道一筋〇〇年」といった、社歴が長い中小企業にとって業態を変化させるということは確かにリスクが高そうに感じます。これまで長い年月、今のビジネスでやってこられたという点を考えると益々リスクが高そうに感じます。
ただし、「これまで」と「今後」を同じ目線で考えていいのでしょうか?
確かに、市場が着実に成長し需要の伸びが高い確度で見込まれる時代は業態を変化させるようなリスクをとる必要はなかったでしょう。
確かに、市場が着実に成長し需要の伸びが高い確度で見込まれる時代は業態を変化させるようなリスクをとる必要はなかったでしょう。
それよりも少しでも生産高を上げ、売上をガンガンに拡大させることで成長を目指す方が合理的でした。作りさえすれば高い確率で売れる見込みが立ちやすかったからです。
しかし、これは日本経済が安定的に成長してい時の話で、今の時代に合うとは到底思えません。
経済の成長鈍化、少子高齢化、所有からシェアへの価値観の変化、AIやIoTに代表されるテクノロジーの急速な進歩など、現代の経営を取り囲む外部環境の変化は加速度的に進んでいます。
これらの変化が企業経営に与える影響は大きいというのは多くのビジネスマンが感じていることで、この変化に適切に対応できるかどうかは企業が今後も生き残っていけるかどうかに大きく影響を与えます。
「気合いで何とか食らいついていく」という考え方自体は頭ごなしに否定するものではないですが、気合いだけでは何ともならなくなるのがこれから中小企業経営者が直面する時代です(既に来ていると思いますが)。これらの時代に適切に対応しようというマインドを持つことが今後の経営者には必要です。
とはいえ、どのように対応すれば良いのかを考えることは簡単ではありません。
将来の世の中の変化にどう対応すべきかについて考えるための一つのヒントとして私がお勧めしているのは、ベンチャー企業のビジネスプランを見てみることです。
※各地でベンチャー企業のピッチ大会がたくさん開催されています
※各地でベンチャー企業のピッチ大会がたくさん開催されています
優れたビジネスプランでは今後見込まれる外部環境の変化の分析と、その変化をどのように自分たちのビジネスに活かしていくのかについてよく考えられています。
ベンチャー企業はそもそも資金力が弱いことに加え投資家から高い成長を求められるため、外部環境を適切に読んだうえでのビジネスモデル構築が必須となります。
一方で、中小企業の場合は社歴が比較的長くなるため、「昨日と同じ明日が来る」と考えがちになり時代の変化に鈍感になります。
このような経営者の特長として、単年で黒字かどうかにこだわり、3年から5年のスパンで自社を時代にどう合わせるかという発想が乏しくなります。
来るべき変化が激しい時代において、業態を時代に合わせて変えるリスクと、これまでと同じことをやり続けるリスクと、どちらがリスクが高いかを経営者は考える必要があると思います。
言い換えると、中小企業経営者はベンチャー企業経営者のような時代を先取りするというマインドを持つべきです。
「AIやIoTの進展は自社のビジネスにどのような影響を与えるだろうか。それに自社はどう対応していくべきだろうか」
「環境への配慮が大きくなる時代において、自社は同じような生産の仕方を今後も続けられるのだろうか。今の段階で対策できることはないのか」
等、経営者にとって考えることはたくさんあります。
これらのことを考え、対策していくことが中期成長戦略立案の一部となります。
中小企業経営者の皆さんには、是非変わるリスクを恐れず、「時代を先取りする」経営を目指していただきたいです。
※たぶん、その方が仕事もワクワクした気持ちでできるように思います。
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