最も無駄なく、効率的、かつ着実に成長させる中小企業経営の考え方
大谷選手、今日もホームランを打ちましたね。すごい活躍で、見る方もワクワクします。
メジャーリーグでも驚かれる二刀流、本当にすごいです(個人的には筒香選手の結果も気になるのですが、、、。頑張ってほしい)。
大谷選手に乗っかっているわけではないですが、企業経営においても「二刀流」的な考え方が最近注目を浴びています。(実は企業経営における二刀流的な考えは結構古くからあります)
最近よく売れた本で「両利きの経営」という本があります。非常に読みごたえがある本ですが、わかりやすい表現で書かれており、内容の濃い良書だと思います。
この本の内容をかなりざっくりまとめると、企業が成長していくためには「深化」と「探索」の両方が必要だ、ということです。
ここでは
深化:既存事業を深めていくこと
探索:新規事業を開拓することという意味です。
既存事業の成功に胡坐をかいているとサクセストラップ(成功の罠)にはまってしまって企業のその後の成長を阻害してしまう。これを避けるためには既存事業を深化させると同時に新規事業を開拓することが必要で、この二つを同時に推進することが大切だ、という内容です。
「両利きの経営」で主張されているこの主張に対し、大企業の経営者は納得できる方が多いように思いますが、一方で中小企業の多くの経営者の方がやや違和感を持つかもしれません。
その理由は、「深化と探索を同時にできるほど、自社には余裕がない」ということです。
ここでのキーワードは「同時に」ということです。
多くの中小企業が深化と探索の両方を同時にすることが難しい主な理由として以下の3つがあります。
1.既存事業でさえも黒字化できていない、あるいは黒字でも利益は小さい
2.今の財務体質では資金的余裕がない
3.新しい事業を任せられる人材がいない
弊社でも時々「現業が苦しいので起死回生の新規事業を立ち上げたい」という相談を受けることがあります。深化と探索を同時にという意味では新規事業の立上げを支援したほうが良いという解釈になるかもしれませんが、基本的にはお勧めしないようにしています。(誤解があってはいけませんが、「両利きの経営」において既存事業が危うくても新規事業を開拓するべき、ということは書かれておらず、あくまで中核事業を維持しながらイノベーションを進めるべきだ、ということが書かれています)
新規事業はそもそもリスクが高く、うまく行かなかった場合には大きな資金を失うことになります。中小企業のおいて既存事業の基盤が不安定な状態でスタートしてしまうと、うまく行った場合は良いですが、うまく行かなかった場合には企業としての存続を危うくする可能性がかなり高まります。
そのため、弊社ではまず既存事業の基盤を安定化させることを優先させ、その基盤から生まれた資金を活用して新規事業や人材の開発に投資していくことをお勧めしています。
スピードが要求される現代の経営においてまどろっこしいプロセスだと思われるかもしれませんが、このプロセスが最もリスクとリターンのバランスが良く、かつ無駄な経営努力を排除できると考えています。
既存事業の基盤を立て直し安定的な黒字が実現できるようになれば金融機関からの評価が上がり資金的なリスクを下げられます。また既存事業の基盤ができ安定的に黒字化できるようになれば採用や教育を含めた人材投資ができるようになり、将来新しい事業を立ち上げる組織体制が作りやすくなります。
このように、あるべきプロセスを踏むことが多くの中小企業にとって最も無駄がなく、効率的な「両利きの経営」実現につながります。
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