第017話 成長する起業家と残念な起業家
成長する起業家と残念な起業家
仕事柄、自治体が実施している起業家支援プログラムの審査員や、その後の事業進捗についてのアドバイザー業務を担当させていただくことがあります。
先日もある自治体さんで事業進捗のアドバイザーをさせていただきました。5社へのアドバイザリーを実施したのですが、その5社の中には、計画を上回る実績を上げている会社、逆に計画を全く達成できない会社があります。
これはどこの自治体に行っても状況は同じですね。
直近6ヶ月間に実施した主な施策を聞いたうえで私や他のアドバイザーの先生方がアドバイスをするのですが、その中で成功する起業家とそうでない起業家を分ける特長がいくつか存在します。そのうちの一つで、本質的な内容をご紹介したいと思います。
それはどんな特長だと思いますか?
その特徴は驚くほどシンプルな内容です。
その特徴は、、、
成長する起業家は次のアクションにフォーカスするが、上手くいかない起業家は過去の結果の言い訳ばかりをしている
ということです。
当然ですが、アドバイザリーというのはその会社が抱えている課題を解決するために行われます。どの自治体も手厚いサポートをされています。その中で、成長する起業家は、
「この6か月、こういうことをしてきて、ここはうまく結果が出たが、ここはうまく結果が出なかった。次の6か月はこの結果を踏まえてこんなことをしようと思っているが、何かアドバイスはないか?」
という内容を質問してこられます。自社の次のアクションはどのようなものであるべきなのかを考えているんですね。
こちらからの指摘事項についても熱心にメモをとっておられる経営者が多く、理解ができない点については熱心に質問してこられます。中には、「この時間だけでは足りないので、別途時間をくれないか」と、貪欲に自社の成長のためのヒントを得ようとされます。
一方で、上手くいかない起業家はどのようなことを言いがちかというと、
「計画には達してないが、これはこんな不運があったからだ」と結果を運任せにします。また、「○○市の支援が十分じゃないから動けない」等、結果を自社以外に帰着させることもあります。
もっとひどいケースでは「結果は出てないけど、うちは正しい。客のレベルが低いからうちの商品を理解できない」等、お客さんに原因を擦り付ける経営者もいます。
(それならお客さんがわかるように説明する方法を考えればいいのにと思いますが)
こちらとしては、過去の結果がでてないことを責めようという気は全くなく(責めても結果が変わるわけでもないですし)、どうすれば改善するかを一緒に考えたいのですが、常に自分の責任を回避することに終始してしまい、議論が前に進まないケースが数多くあります。
こちらが、「こういうことをしてはどうか」と提案しても、「いやいや、それでは上手くいきそうな気がしません」や「社内の調整が大変です」などなど、、、言い訳のオンパレードです(こういう経営者は言い訳が非常にうまい)。
で、結局何も次のアクションにつながる施策が見いだせず、時間内で自分たちの正当性を主張するだけで終わってしまいます。意外とこういう経営者は多いです。「じゃあ、次、どうしますか?」とこちらが質問しても「とにかく頑張ります」みたいな回答です。
でも今までも頑張っているはずなんですけどね。
私から見て、素晴らしいアドバイスをされる先生はたくさんおられますが、それを活かせる会社、活かせない会社、当然差が出ます。今までと違うアクションを起こさないと、違う結果は得られません。違う結果を望むのなら何か行動を変えるべきです。残念ながらそのことを理解していない経営者は数多くおられ、そういう会社の未来は暗いと思います。
自治体が支援する企業はまだスタートして間がないベンチャーが多いので、現段階ではさほど大きな差にはなっていません。しかし、このような行動・マインドの差が今後も続くとするならば、業績面でさらに格差が拡がることは誰が考えても間違いないでしょう。
先日の「経営者の不動心」というコラムでも書きましたが、今、経営者として考えるべきことは何か?という点を鑑みると、自己保身の言い訳ではなくいかにして目標を達成できる体制を社内に作ることです。
このコラムを読んでいただいている経営者・ビジネスマンの方には是非成長する起業家の行動・マインドを頭の片隅に入れておいていただき、次のアクションに集中していただきたいです。(仙台のスタバにて)
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